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経営者保証に関するガイドライン

経営者保証に関するガイドライン

中小企業の場合、金融機関から融資を受ける際に不動産などの担保の他に、社長が連帯保証人になることを求められます。社長の個人保証をしないと融資を受けられないという実態があります。

しかし、事業承継の場面において、特に親族以外の従業員を後継社長とする場合にはこの個人保証が大きな壁になるケースが見られます。

私のお客様も、後継者予定の従業員さん本人は前向きに社長への就任を決意されていましたが、その親御さんや奥様から相当の心配をされ、連帯保証人になることを止められていらっしゃいました。

ご家族からすれば当然の反応ではないかと思います。

 

そんな状況を解決できるかもしれないのが「経営者保証に関するガイドライン」です。

経営者保証に関するガイドラインでは、中小企業融資に関する次のような問題を解決すべく作られました。

 

中小企業経営者の個人保証がもたらす問題

中小企業経営者の90%が融資の際に個人保証を提供している

倒産・廃業時にご自身の財産を失う可能性があります。

※出典:中小企業庁「個人保証制度見直しの背景」(平成26年2月より)

 

事業承継時に後継者が躊躇する

前述の通り、後継者が個人保証の提供を躊躇することが、円滑な事業承継を妨げる要因となっています。本人が覚悟を決めても、その家族が反対することで社長に就任することを躊躇うケースがあります。

 

意欲ある経営者の再チャレンジを阻害する

個人保証をしている経営者が会社の倒産等により破産に追い込まれ、ほぼ全財産を失うことや信用情報に登録されることは、意欲ある経営者の再起において大きな障害となっています。

破産を経験した経営者のうち26%は再び経営者として復帰しています。

出典:中小企業白書(2002年版第2部第2章3節より)

 

 

こうした問題をクリアするため、「経営者保証に関するガイドライン」が制定されました。経営者保証に関するガイドラインは中小企業庁と金融庁の後押しで、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会が事務局となり、経営者保証を提供せず融資を受ける際や保証債務の整理の際の「中小企業・経営者・金融機関共通の自主的なルール」として策定・公表されたガイドラインです。

 

経営者保証に関するガイドラインでできること

  1. 経営者保証なしで新規融資を受けることができる可能性がある
  2. 経営者保証の解除ができる可能性がある
  3. 保証債務履行時・保証債務整理時に必要な生計費や自宅を手元に残せる可能性がある

 

経営者保証に関するガイドラインの対象者

  1. 主債務者が中小企業であること。
  2. 保証人が個人であり、主債務者である中小企業の経営者等であること。
  3. 主債務者である中小企業と保証人であるその経営者等が、弁済に誠実で、債権者の請求に応じて負債の状況を含む財産状況等を適切に開示していること。
  4. 主債務者と保証人が反社会勢力でなく、そのおそれもないこと。

 

中小企業に求められる経営状況

法人と経営者との関係の明確な区分・分離

会社と社長との間の「貸付金」や社会通念上適切と考えられる範囲を超えた役員報酬などが無いこと

財務基盤

返済能力が十分だと判断できる財務内容。金融機関にとっては、これが一番の信用力になります。

適切な情報開示

自社の財務状況を適切・正確に把握し、金融機関からの開示要請に応じて財務状況や事業計画、業績の通しなどを適切に説明することで経営の透明性を確保していること。

情報開示は税理士や中小企業診断士などの外部専門家による検証結果と合わせたものが望ましい。

 

 

これらの要件を満たすことで、経営者保証に関するガイドラインの適用を受け、個人保証を解除してもらえる可能性があります。

特に事業承継時には経営者保証に関するガイドラインを活用することで円滑な後継者へのバトンタッチが実現できます。

 

 

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